ホクリク魅力ソン 2020 開催報告

令和2年秋、地域の課題を魅力に転換するアイデアソン「ホクリク魅力ソン2020」を、昨今の新型コロナウイルス感染症対策を実施している状況を鑑み、初のオンライン開催で実施いたしました。

 

「ホクリク魅力ソン」としては4回目(前身となる同様のイベントを含めると5回目)となる今回の「ホクリク魅力ソン2020」は、「地域の課題を魅力に転換する」ことを念頭にすることは変わらず、テーマを「“新しい生活様式”におけるICTの利活用」とし、オンライン開催ということで、検討を重ねた結果、3つのツールを併用する形としました。

 

  1. ○SpatialChat(ビデオ会議サービス、https://spatial.chat/)
  2. ○Miro(ホワイトボード共有サービス、https://miro.com/)
  3. ○Slack(テキストチャットサービス、https://slack.com/)

 

ただ、私たちスタッフも含め、今回これらのツールを初めて利用するという方もいらっしゃいます。そのためアイデアソンに先んじて「PracticeDay」と名付けた、ツールの使い方の練習等を行う時間を2回、設けました。よって今年のホクリク魅力ソンは、下記の2つの「Day」で構成されることになりました。

 

  1. 1.令和2年10月03日(土)及び08日(木) 「PracticeDay」 =ツールの準備と使い方を学ぶ
  2. 2.令和2年10月10日(土) 「IdeathonDay」 =アイデアソン

 

 

1.「PracticeDay」

PracticetDay は、文字どおり、今回のアイデアソンをオンラインで実施するにあたって利用する上記のツールの準備(アカウントの作成など)と利用方法を、参加者のみなさまに実際に触っていただきながら確認いただき、質問等に対してスタッフが解説、アイデアソンの際になるべくスムースに始められるようにと設けた日です。

全員ではありませんでしたがほとんどの方にご参加いただき、我々もツール選定時にいろいろと触っていたとはいえわからないことも多く、結果的に「お互いに確認する」こととなり、有意義な時間となりました。

 

2.「IdeathonDay」

IdeathontDay は、こちらも文字どおり、アイデアソンを行う日です。メンター(*対話による気づきと助言を促し議論が活発に、スムースに進むようサポートするスタッフ)の助言のもと、課題を魅力に繋げるアイデアを創出することを目指します。

 

当日は、7名(社会人6名、学生1名)にご参加をいただき、3名と4名の2つのチームに分かれて、行いました。メンターがそれぞれにつきます。

 

スケジュールは、

 

 イベント概要説明

 アイスブレイク説明

 アイスブレイク

 アイスブレイク発表

 ワークショップ1 ターゲット・未来像

 (昼食)

 ワークショップ1 発表

 ワークショップ2 サービス・全体像

 ワークショップ2 発表

 (休憩)

 ワークショップ3 再検討&具体化

 ワークショップ3 発表

 (休憩)

 ワークショップ4 まとめ

 プレゼンテーション準備

 (休憩)

 最終プレゼンテーション

 審査と結果発表、表彰式、記念撮影

 

このような流れです。

繰り返しになりますが今回はオンライン開催。これらは全て、SpatialChatとmiro、Slackを利用して行います。

SpatialChatは背景画像を自由に決められるので、あらかじめ「アイデアソン会場っぽい」背景を設定、そこにログイン=入場して、始まります。

  • (今回の会場となるSpatialChat上の仮想会場全景と冒頭の様子)

丸いアイコンがスタッフ及び参加者です。基本的にカメラはオンにしてもらっています。理由は、このサービスの特徴として、「アイコンの距離に応じて相手とのやりとりの音量が変わる、聞こえない距離まで離れたとみなされるとカメラ映像からただのアイコン(*名前の先頭文字)に変わる」という興味深い仕様があるからです。上の画像では、参加者全員が中央のファシリテーター(*情報通信研究機構、宮地が務めました)の説明を聞くために集まっている状況、これはリアルな会場に置き換えると「説明を聞くためにみんなが前を向いている」状態だと思ってください。

拡大するとこういう感じです。回線及びパソコンへの負荷を減らすためにカメラをオフにしている方もおられます。

 

まずは初対面の人同士でも打ち解けるための「アイスブレイク」として

「他己紹介」

というゲームをしました。自己紹介ではなく、同じチームの他の方を紹介します。

一種の「ゲーム」ですので時間制限を設け、チーム内で自己紹介をして、それぞれのことを理解して、自分のことでなく、チームメンバのことをみんなに紹介します。もちろんメンターも加わって。

  • (「他己紹介」実施中。グループAはAのスペースに、グループBはBのスペースに、います。
    お互いの声は聞こえません。)

さて、そうして打ち解けた雰囲気になったところで、本格的にスタートです。

今回の「ホクリク魅力ソン2020」のゴールは、このシートを完成させること。

基本的には例年ほぼ同じです。ただ、これも毎年ですが、いきなりこのシートを見ても「どうしたらいいの?」となると思います。

大丈夫です、上に書いたスケジュールのとおり、順番に、考えていきます。各チームにはメンターもついています。

 

まず最初におおまかに自分たちのチームの方向性を決めます。この時点では特に制限は設けません。各自が持っている問題意識から、なにかしらターゲットと未来像を考えます。

この「考える」時、通常であればペンや付箋、ノートなどを使うところですが、今回はオンライン開催。ここで使うのが「Miro」です。

左側に縦にいろいろアイコンが並んでいますが、これらを使うとテキストを入力したり付箋を貼ったり図形を描いたり矢印を引いたりペンでフリーハンドで描いたり画像を貼ったり、いろんなことができます。置いたもののうち「これは」と思うものはロックすることもできます。そうこうしながら、だんだん形にしていきます。

 

今年のテーマは「“新しい生活様式”におけるICTの利活用」。まずはチーム内で、最近、この半年くらいの生活の中で感じたこと、今も感じていること、得たもの、失ったもの、などを自由に話し合い、付箋ツールなどを使って書き出していきます。

  • (miroを用いてアイデア出しを行っている様子。
    マウスポインタもリアルタイム描画なので誰がなにを触っているかもひと目で。)

最後のプレゼンテーションだけではなく、途中にも「発表」を随時行います。自分たちが進めていることを人に話すことで客観的に確認することができますし、他のチームがどのようなことを考えているかを知ることで、自分たちの考えていることを見つめ直すという目的もあります。

  • (miroの画面をSpatialChatに共有しての発表。
    スピーカーはその近くにアイコンを移動し聞く人はその周りに集まっています。)

それぞれのチームは社会人と学生、男性と女性の、混成チームです。年齢層も今回は21歳から58歳までと幅広く、職種もさまざま。これは、実行委員会として、あえて、そうしています。 

普段の生活ではなかなか接することのない人同士、ということもあり、打ち解けたあとは(休憩時間の雑談も含めて)盛り上がり、各チームからそれぞれユニークなアイデアが出てきました。

 

そして迎える、最後のプレゼンテーション。

スタイルは自由、ツールも自由、お任せです。過去、実際の会場で行った際には、ホワイトボードを使うチーム、お芝居(コント風)仕立てにするチーム、などもいましたがオンライン開催の今回はさすがにそれは難しく、両チームとも、スライドを準備して、それを画面共有しながらのプレゼンテーションでした。限られた時間の中で話したいことをまとめ、スライドを作成し、みんなに伝える。大事なのは「自分たちが考えたアイデアの良さを伝えること」です。

 

チームA「シューズ」(*「みんななにかしらの運動、日々のエクササイズを心がけているからということでこの名前になった」そうです。)は、「テレワークの普及で失ったものは、日々の小さなコミュニケーションだ」というところに着目し、たまたま喫煙者も多かったこともあり「今は普通に休憩スペースに取って代わったけど、かつてあった喫煙所でのなにげないコミュニケーションってよかったよね。」という流れで、「オンラインミーティングツールをつなげる新たなコミュニケーションツールの提案」を。

  • (チームA「シューズ」の最終プレゼンテーションの様子とエレベーターピッチシート)

 

 

チームB「獅子舞とカルボナーラ」(*「前者は舞う人がいた、後者は好きな人が多かったからこの名前になった」そうです。)は、「これまでは風邪をひいた時やひきそうな時にだけつけていたマスクについて、常にみんながつけるようになった。ただ息苦しいとか暑いとかじゃもったいない、もっと活用したい。」ということで「マスクに付加価値をつける、Go to マスクとサイレントアピールマスクの提案」を行いました。

  • (チームB「獅子舞とカルボナーラ」の最終プレゼンテーションの様子とエレベーターピッチシート)

 

両チームのプレゼンテーションが終わり、審査員による審査を経て、審査員を代表して北陸先端科学技術大学院大学の篠田陽一教授より、各チームそれぞれに講評を伝えつつ、賞状が(これもオンラインですが)授与されました。

  • (表彰式の様子。中央が篠田先生)

 

  • チームA「シューズ」
  • チームB「獅子舞とカルボナーラ」

そして最後は、全員で、あらためて中央に集まって、スタッフもみんなカメラをオンにして、参加者の方々は賞状の横に並んで、記念撮影!

…のはずが、インターネットは水物(?)、そしてこのSpatialChatはなかなかパソコンに高い負荷をかけるようで…「カメラをオンにしてるけど映像が出ないよ?」という方もちらほら…というハプニングも最後にありましたが、なにはともあれ、終了となりました。

アイスブレイク、ワークショップ、プレゼンテーション、そして審査・表彰式…、あっという間の1日でした。

 

この「ホクリク魅力ソン」は次年度以降も開催を検討中です。

開催決定の際には公式サイト等で案内いたしますので、ぜひご参加をご検討ください。

 

ありがとうございました!